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買収から1年 オリオンビールに見る地方企業の生きる道 - 日経ビジネス電子版

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沖縄県を代表する企業、オリオンビールのファンドによる買収劇から1年が経過した。単独での生き残りに限界を感じ、ファンドや大手の傘下に入る企業は少なくない。投資ファンド傘下で地方企業の経営はどう変わるのか。オリオンの現状を追った。

(写真=河野 哲舟)

 沖縄県那覇市内にあるショッピングモール「サンエー那覇メインプレイス」。その酒類売り場は本州とは違う光景が広がっていた。オリオンビールの「Orion」のロゴが描かれた商品が冷蔵ケースに並ぶ。その隣の棚には高級ビール「75BEER(ナゴビール)」が紙袋に入れられ、観光客が持ち帰りやすい状態で置かれている。

 ナゴビールは店頭価格が260円前後で、ビール大手のプレミアムビールよりも高い。それでもサンエーの担当者は「県内の人も買ってくれるので好調だ。オリオンが高単価の商品を出してくれてうれしいし、地元メーカーとして頑張ってもらいたい」と話す。

 2019年1月。野村ホールディングス(HD)と投資ファンドの米カーライル・グループが、沖縄を代表する企業のオリオンを買収すると発表した。

 3月にはTOB(株式公開買い付け)が成立し、野村とカーライルは570億円でオリオン株の92.75%を取得。7月にはカナダのスポーツウエア大手、ルルレモン・アスレティカ日本法人の社長を務めた早瀬京鋳氏をオリオンの社長兼CEO(最高経営責任者)として招き新体制をスタートさせた。

 買収から約1年。オリオンはナゴビールだけでなく酎ハイ「WATTA(ワッタ)」も発売するなど再出発している。

沖縄県内でシェア下落

 オリオンがファンド傘下入りを決めたのは、経営体制に限界を感じていたためだ。オリオンは1957年創業の非上場企業で、沖縄の戦後復興の象徴だ。90年ごろまでは創業家が経営に参画していたが、現在は経営陣に創業家はいない。以前は約2割の株式を創業一族が所有していたが、株主の高齢化が進んでおり対策が求められていた。

 ビール事業の立て直しも急務だった。国内のビール系飲料の販売実績は消費者の嗜好の多様化を受けて15年連続で減少。オリオンも2019年3月期の売上高が前年同期比2%減の257億円、営業利益は同10%減の25億円と減収減益が続いていた。沖縄県内のシェアは1990年ごろの8割から現在は5割にまで低下し、沖縄ブランドとしての地位も危うくなっていた。

 そうした中、株式売却先の候補だったカーライルの提案を検討したが、沖縄県の企業は海外ファンドの資本参加を受け入れた事例が少なく、地元の反応が読めない。そう考え経営陣が声をかけたのが野村だった。国内で顧客基盤を持つ野村と、海外に強いカーライル。「第二の創業にはこの組み合わせが友好的でベストなパートナーだ」(嘉手苅義男会長)との結論に至った。筆頭株主だったアサヒビールを含めメーカーの傘下に入るという選択肢は、「沖縄県の企業としてのアイデンティティーを維持したかったので、なかった」(嘉手苅会長)という。

 総務省の2015年度国勢調査によると、沖縄県の産業に占める第2次産業の割合は15.1%。全国の25.0%に比べ大幅に低い。沖縄県を見渡してもオリオン以外に全国的な知名度を持つ製造業は見当たらない。野村とカーライルによる買収報道が出た直後には、地元議員がSNSで「オリオンの買収はあってはならないこと」と発言するなど反発の声もあった。

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March 19, 2020 at 08:02AM
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