ウィザーズの八村塁(22)はホークス戦で6本のフィールドゴール(FG)を放ったがこれをすべて失敗。得点はフリースロー3本による3得点に終わった。FG成功「0」は昨年11月6日のペイサーズ戦(5本すべて失敗で無得点)以来、これが2回目。ひとケタ得点は出場39試合で10回目となった。
外した6本のFGのうち5本までがゴール下のエリア。つまり全部決めていてもおかしくない状況で、リングまでの「水平距離」だけを明記しておくと1フィート(30センチ)→3フィート(91センチ)→1フィート→4フィート(1・2メートル)→1フィートとなる。たぶんディフェンスがいなければ、バスケ初心者の方でも決めてしまう距離だ。
5本のうち2本はホークスのジョン・コリンズ(22=206センチ)とキャム・レディッシュ(20=203センチ)がブロックしたもの。しかし正面もしくは真横からはたいたわけではなく、2本とも八村の背後に回って手で「かきだした」ブロックだった。
八村の距離別FG成功率で最も高いのは当然のことながらゴール下周辺のエリアとなる5フィート(1・5メートル)未満で、今季は197本中128本を成功。65・0%の成功率を記録していた。ところがホークス戦では0%。本人もさぞかし納得できなかったのではないかと思う。
ただし背後からボールを「かきだされた」のはこの試合が初めてではない。サンダーのシェイ・ギルジャスアレクザンダー(21=196センチ)、マーベリクスのマキシー・クリバー(208センチ)らにも同じタイプのブロックをくらっているのだが、これはほんのわずかに残っている八村の一種の“クセ”だとも思う。ゴール下でシュートに行くときに体の上下のラインがあまりにも「直線的」なのだ。
その昔、身長が実質193センチとも196センチとも言われていたチャールズ・バークリー(元76ersほか)は、ゴール下でノーマークのように思われたシュートでもお尻を引き、もし相手が背後から襲ってきたとしてもそこに“空間”を作っていた。しかもボールをトップの位置にひきあげるのはジャンプしたあと。ギリギリまでボールを「隠している」状態だった。空間と時間にタメとギャップを作ってからのゴール下でのシュート。だから背後からむしりとらえるようなブロックはあまりくらっていなかった。意識的だったのか、経験を重ねるうちにそうなったのかはわからないが、タテ方向のサイズがなかったぶん、そうやってリングへの“道”を確保しようとしていた。
八村は203センチのフォワードで決してフロントコート陣としては大柄ではない。だからダンクに持ち込めないならば、ゴール下では工夫が必要だ。目の前にリングがあっても「1・2・3」の均等リズムと直線型の姿勢でシュートを打ちにいってはいけないのがNBA。ホークス戦はいい勉強になったのではないだろうか?(高柳 昌弥)
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March 06, 2020 at 07:32PM
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