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【地球コラム】総選挙を通して見る韓国社会の構造変容 - 時事通信

改憲も視界に

 4月15日に実施された韓国総選挙において与党「共に民主党」は過半数議席を獲得した。5月10日に就任丸3年を迎えた文在寅大統領は、30日から始まる第21代国会において政府・与党だけで「改革」を推進できる確実な基盤を得た。進歩政党が大統領と国会過半数の両方を押さえたのは2004年4月以降16年ぶりのことである。当時、わずか1年で「与小野大」国会へと転じ、盧武鉉大統領は一気に国政の主導権を失ったが、その教訓をどのように学んだのかによって文在寅大統領と共に民主党の政治的運命が定まるだろう。(同志社大学教授 浅羽祐樹)

◇ ◇ ◇

 定数300の韓国国会において、共に民主党の議席数は177(59.0%)であるのに対して、野党第1党の未来統合党の議席数は103(34.3%)である。実に、74議席(24.7ポイント)も差が開いている。共に民主党(177議席)に、正義党(6議席)、開かれた民主党(3議席)、諸派(2議席)、進歩系無所属(2議席)を加えた進歩陣営全体では190議席に達する。一方、保守の未来統合党は、選挙区の候補者公認から漏れたため無所属で出馬し当選した4人を復党させたとしても107議席にとどまる。残りの3議席は中道の「国民の党」である。

 韓国では、2012年の国会法の改正によって、過半数議席を確保しているだけでは、法案を思いどおりに通すことができないが、定数の5分の3、つまり180議席を上回れば、与党単独あるいは進歩陣営だけで法案を迅速に審議し表決に付すことができる。そもそも、国会同意人事の要件は単純過半数であるため、大法院(最高裁判所)や憲法裁判所の後任人事においてより一層カラーを明確にできる。

 さらに、未来統合党の一部を切り崩すことができれば、悲願の憲法改正もいよいよ現実味が帯びてくる。憲法改正案の国会議決には在籍議員の3分の2以上の賛成、つまり200議席が必要とされる(韓国憲法第130条第1項)。文在寅政権下ではすでに2回、憲法改正案が国会の議決に付されたことがあるが、いずれも保守野党がボイコットしたため開票すら行われなかった。

 1987年に成立した韓国の現行憲法が新興民主主義体制の定着に寄与したのは間違いない。しかし、この「1987年体制」はそもそも権威主義体制と民主化勢力の妥協の産物でもあるため、「5・18(光州)民主化運動(1980年)」や「6・10抗争(1987年)」の「民主理念」が憲法前文に盛り込まれていないというのが文在寅大統領の歴史観・国家観であり、だからこそ改憲案の焦点のひとつになっている。

 進歩勢力が大統領、地方の首長・議会、司法に続いて国会も掌握することで、韓国という「国のかたち」が重大な岐路に立っている。

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