かつては男性社会の印象が強かったコンサルティング業界ですが、最近では女性の活躍も目立つようになりました。
その一方で、「仕事への正当な評価」 「中長期的なキャリアを描く」「プライベートも充実させる」という点において、迷いや不安を抱える人も少なくありません。
しかし、そういった環境も時代の流れに即して大きく変わりつつあります。
今回は、コンサルティング業界のなかでも女性比率が高い『アクセンチュア』で、最先端のテクノロジーを駆使して課題解決に取り組む女性社員の方に、企業風土や働きやすさ、そして仕事のやりがいなど、生の声を伺いました。
無駄な時間や費用はかけない。合理的な働き方ができる環境
── 堂ノ脇さんは新卒で、山本さんは中途採用でアクセンチュアに入社されたそうですね。それぞれ、簡単に経歴を教えていただけますか。
堂ノ脇梓さん(以下、堂ノ脇):2015年に新卒で入社したので、今年で5年目になります。所属は一貫してテクノロジー コンサルティング本部。現在はインテリジェントクラウド アンド インフラストラクチャー(ICI)グループで、お客様のコンサルティングに従事しています。
山本奈津実さん(以下、山本):私は2019年9月入社です。堂ノ脇さんと同じくICIグループに所属しています。前職は外資系ITベンダーで、主にデータセンター向けのハードウェアを法人のお客様に販売する企業でした。そこで、IT技術の専門知識を持った、営業フェーズのエンジニアであるプリセールスとして働いていました。
転職の理由は、仕事の幅を広げたかったから。ハードウェアを売るプリセールスという専門性を求められる職種から、お客様のIT戦略全般に幅広く関われるコンサルタントという職種にジョブチェンジすることで、ロジカルシンキングなども含めた幅広いスキルを身に付けたい、と思いました。
アクセンチュアを選んだ理由の1つが、すごく効率的だったことです。転職活動をしていた時は名古屋に住んでいたのですが、面接を東京本社ではなくオンラインで行うなど柔軟に対応してくれました。テクノロジーで解決できることはテクノロジーを活用し、無駄な時間や費用はかけない。そういった合理的な姿勢が自分とも合っていると感じたんです。
──お2人が所属しているICIとはどういったグループなのでしょうか。
堂ノ脇:アクセンチュアの注力領域であるクラウドとITインフラに関わる部署です。ミッションはITインフラにおけるアウトソーシングや、IT部門の組織変革の支援。業務効率化やコスト削減に課題を抱えるお客様に対するコンサルティングを行い、最適なサービスを提案し、ビジネスにイノベーションを起こします。ICIは、クラウドのコンサルティング部隊と導入部隊に分かれており、私と山本さんはコンサルティング部隊に所属しています。
少し具体的に話すと、現在多くの企業が採用しているITインフラは、自社のデータセンター上に、ITインフラを構築している「オンプレミス」とか「保有型」と呼ばれるものです。しかし、今のテクノロジートレンドは、自社のデータセンターではなく、AmazonやGoogle、Microsoftなどが提供する共有型クラウドサービスを活用していくことです。
そこで、アクセンチュアではお客様の業務内容や特性、課題などから、最適なITインフラを見極めてどのようにクラウドを活用すべきか、提案しています。最適解は1つではなく、お客様の事情によってケースバイケース。それが、難しくもあり、面白い部分でもあります。
──具体的な業務内容も教えてください。
堂ノ脇:今は、金融業界のお客様の業務を改革するプロジェクトで働いています。現在のテクノロジートレンドの1つであるAIを活用した、業務効率の改善や将来的なITプラットフォームのあり方を検討・導入支援しているところです。
私は、ICIのコンサルタントの仕事は家のリフォームに似ていると考えています。すでに家を建てた人でも、将来は子どもが増えて人数が増えたり、逆に独立して減ったりすることがありますよね。その時、家主が考える将来的なビジョンに合わせて、最も住み心地がよい効率的な間取りや設備を取り入れるのがリフォームです。
ICIもお客様の将来的なビジョンに合わせて既存のシステムやインフラを見直し、新しいテクノロジーを組み込んだり、そもそもシステム自体を入れ替えたりするご提案をします。そういった意味で、似ていると感じるのでしょうね。
山本:私は、入社してすぐに製造業のお客様のシステムを刷新するプロジェクトチームに配属されました。このチームの目的は、今まで使ってきたシステムを効率化して、ITでビジネスに貢献できるようにすること。製造業においてITは、直接の利益を生みださないコストセンター扱いされることがあります。そこで、この時のお客様には、新製品の開発にも寄与できるような最新鋭のシステムおよびそれに合う合理的な運用スキームへの変更などを提案していました。
その後、5月からは官公庁でのシステム刷新のプロジェクトチームに移動。これまで経験したことがない大規模なチームです。ICIの業務にしてはイレギュラーですが、完成したシステムをテストし、お客様にお渡しできる状態かどうかを検証するフェーズを担当しています。
最先端の知識を身につけ、最適解を提案できるのが醍醐味
──コンサルタントは、エンドユーザーに直接応対する仕事ではありません。お2人のやりがいや仕事の醍醐味を聞かせていただけますか。
堂ノ脇:お客様には大企業も多いので、規模が大きく難易度が高いプロジェクトに参加することも珍しくありません。当然、チームも大規模になります。そのなかで自分の役割をしっかりと果たし、プロジェクトをやりとげた瞬間が仕事の醍醐味です。お客様に感謝の言葉をいただくことも嬉しいのですが、上司や仲間同士で互いに感謝の言葉をかけ合う瞬間が好きです。自分もチームの役に立っていると思える瞬間です。
山本:その感じ、すごく分かります。前職のプリセールスは、いわば個人商店。1人で対応することも多く、スキルや時間の不足で提案内容がこじんまりしてしまうこともありました。しかし、今はチームで対応します。それぞれが得意分野を活かして、お互いをカバーしながら仕事を進める。チームで働けることが、仕事の醍醐味だと感じています。
もう1つ、私は入社して10カ月程でまだまだスキルが足りない。日々勉強なのですが、その分、毎日何かしら新しいことを身に付けられる。そのたびに、小さなガッツポーズです。もちろん、できないことによる大きな悔しさもあるのですが(笑)。
堂ノ脇:もう1点、アクセンチュアで働く醍醐味をあげるとすれば、お客様にその時点での一番良い提案ができること。ITの最新テクノロジーは日進月歩です。アクセンチュアは世界中でビジネスを展開しており、最新のテクノロジートレンドに接しています。
社内での勉強会に加えて、AmazonやGoogle、Microsoftといった社外パートナー企業との勉強会も多い。もちろん、そのトレンドをキャッチアップして常に勉強するのは、私たちにとってはチャレンジングだし時には苦しいこともあるのですが、最先端の情報や知識を身に付けたうえでお客様にとっての最適解を提案できるのは仕事の醍醐味ですね。
山本:私は前職がベンダーだったので、自社の製品しか扱えないことに葛藤がありました。他社の製品やサービスの方がお客様の課題に合っていても、それを提案できるわけがない。そういった意味では、アクセンチュアは特定の製品やサービスではなく、お客様の課題にあった最新のテクノロジーを提案できる。自分が納得した仕事ができるという意味ではやりがいがあります。
効率的に短時間で成果を出す人が評価される企業文化
──最新技術や多種多様な製品・サービスの勉強とお客様への提案。インプットもアウトプットも多いコンサルタントの仕事は、激務という印象があります。実際に働いてみていかがでしょうか。
堂ノ脇:確かに、入社前は毎日、終電かタクシーで帰る印象を持っていました。実際、一昔前はそういったこともあったようですが、私が入社した頃から「Project PRIDE」という組織風土改革がスタート。「ワークスタイル・チャレンジ」という名の下に、生産性向上を通じた労働時間の短縮に着手しました。その結果だと思いますが、私は激務と感じたことはありません。
私の働き方を具体的に話すと、基本的には9時間労働でうち1時間の休憩。プロジェクト中、出退社は基本的にお客様の会社に合わせますが、今は10:00〜19:00の勤務が多いですね。忙しい時には残業することもありますが、落ち着いている時は定時で退社しています。
定時で帰れたら社外の友人と食事をしたり、自炊したり。今は結婚していないので、ライフステージ的には仕事に力を入れる時期だと思っています。
そうはいっても気分転換は大事。休日は、たまにトレイルランニングを楽しんでいます。アクセンチュアは社内での部活動が盛んで、その中の1つなんです。朝5時に起きて7時に山の麓に集合とか、なかなかハード。でも、大自然はいいですよ。
山本:私は定時で帰れたら、ダンス教室に通っています。ジャズダンスとベリーダンス(笑)。衣装が可愛くて。
──プライベートも充実していますね。では、山本さんの働き方も教えてください。
山本:現在、携わっている官公庁の仕事は、新型コロナウイルスの影響でリモートワークです。基本的には9:00〜18:00の勤務で、忙しい時には残業もあります。ちなみに、入社直後に携わったプロジェクトもお客様が関西の企業だったので、ずっとリモートワークでした。プロジェクトによっては、リモートの活用が珍しくありません。
実は、製造業のプロジェクトに参加していた時に、実家の母が体調を崩してしまいました。リモートワークということもあり、実家から仕事ができないか相談したところ許可が下りたので助かりましたね。転職後、すぐの出来事だったので働きやすさを感じた瞬間です。
──遅くまで残業していないのは意外でした。
堂ノ脇:残業が少ない理由の1つは、アクセンチュアの社風にあると思います。無駄なことには時間をかけない。効率的に短時間で成果を出すほうが評価されます。生産性の高さや効率的な働き方に対する意識も高いと感じます。
山本:効率的な働き方といえば、転職直後はチャット文化に驚きました。前職はメールがメインで、どうしても形式張った書き方になって、文章も長くなりがち。チャットなら手軽だし、ちょっとした疑問なら気軽に質問できます。コミュニケーションはストレートにスピード重視という姿勢を感じました。
堂ノ脇:私が生産性や効率で意識していることは、手戻り、つまり作業のやり直しを発生させないこと。人は自分の能力をつい過信しがち。「自分はできる」と思っている人ほど、誰にも相談せずに仕事を進めて、求められている内容や期待値にそぐわないことになります。それで一からやり直すより、工程に細かくマイルストーンを設置して、その都度チェックを受けるようにしています。
制度があるだけでなく、文化として定着していることが大切
──アクセンチュアの働き方を変えた要因の1つ「Project PRIDE」ですが、「ワークスタイル・チャレンジ」以外に、多様性への取り組みである「ダイバーシティ・チャレンジ」、社員の成長やキャリアを後押しする「リクルーティング・チャレンジ」があります。「ダイバーシティ・チャレンジ」では、女性の働きやすさも重要なテーマです。
堂ノ脇:正直、私はアクセンチュア入社後、「女性だから」という部分を意識したことがありません。アクセンチュアでは、性別をベースにした価値観や物の見方をしていないですね。もちろん、男性と女性は生物学的な差異もあるので、違いを完全になくすことは難しい。そういった意味で女性が働きやすい制度は充実しています。
しかし、それは「女性」に限定されているわけではありません。たとえば育児休業ですが、私の周りでは子どもが生まれたほとんどの男性社員が取得しています。子育てのあいだ、短日短時間勤務や在宅勤務を利用している上司も多い。男性も含めた社員の多くが制度を活用しているので、女性も活用しやすいのだと思います。
山本:前職も外資系だったので、生理休暇や産休・育休といった女性が長く働くことを支援する制度は充実していました。ただし、その制度を使えるかどうかは別の話。正直、形骸化している部分もありました。アクセンチュアでは、産休や育休から復帰して働いている人をよく見ますし、役職が上の人でも制度を利用しています。制度があるだけではなく、文化として定着していることに驚きました。
──きちんと制度を活用できる環境が整っていることは重要ですね。最後に、これらから目指すキャリアパスについても教えてください。
堂ノ脇:今後のキャリアプランは、まさに考えているところ。アクセンチュアはチームで働くので、他部署の人との交流も盛んです。それゆえ、「うちの部署のほうが向いているよ」とか「うちのプロジェクトに参加して」というような言葉をかけてもらうことも多いし、キャリアアップする機会もあったのですが、まずは今の部署でスペシャリストを目指しています。インフラやクラウドは、どの業界にも存在する領域。全ての業界のお客様に最適な提案ができる実力をつけたいですね。
個人的に興味があって、これから仕事に活かしていきたいと考えているのが、行動心理学です。最新システムを提案した時、これまで良しとされていた前例を覆して、新しい一歩を踏み出すのは簡単な選択ではありません。正直、理論だけでは伝わらない部分もあります。その時、きっかけとなる行動や選択は何なのか。将来的には、企業が一歩前に踏み出して、新しいチャレンジに対して支援ができるような仕組みを考えていきたいです。
──山本さんのキャリアプランはいかがでしょうか。
山本:30歳くらいまでは広くいろいろなことを経験したい。そのうちに、専門にしたいことが自ずと見えてくると思っています。コンサルタントの仕事は、物事を整理して最も合理的に進める方法を考える仕事。それは、何かを経営するために重要な要素です。もしアクセンチュアを退職する時は、そのスキルを活かして本屋さんでも経営してみたいですね(笑)。
アクセンチュアでは、仕事もプライベートも妥協しない
コンサルタントファームの中でも女性比率が高いと言われるアクセンチュア。35.5%が女性社員で、管理職も16.6%を女性が占めています(2020年6月1日時点)。アクセンチュア本社では、初の女性CEOにジュリー・スウィート氏が就任したことも話題となりました。
今回、ICIグループで活躍する堂ノ脇さんと山本さんのインタビューから見えてきたのは、女性の働きやすさの根底にダイバシティー(多様性)を受け入れる企業文化があるということ。性別や国籍、文化、LGBTQ、障害の有無といったバックグラウンドに関わらず、平等に接し評価する企業だからこそ、女性を含めた社員全員が働きやすい環境が生まれているのでしょう。
自分のバックグラウンドやライフステージに合わせて、勤務時間や形態を選んだり、長期的な視点でキャリアを構築したりできるアクセンチュア。「コンサルティング業界は激務で、それゆえに男性社会になりがち」という印象が長らく付きまとっていましたが、それはもう過去の話。誰もが仕事もプライベートも妥協しない働き方ができる時代が訪れつつあるようです。
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オリジナルのフィードバックアンケートを作りましょうImage: アクセンチュア, Getty Images, Shutterstock.com
Source: アクセンチュア採用情報, アクセンチュア独自の働き方改革「Project PRIDE」, 女性が活躍する職場
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July 27, 2020 at 01:00AM
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「激務」「男性社会」はもう過去の話。アクセンチュアに見るコンサルの新常識 - ライフハッカー[日本版]
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