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サーティワン、またも赤字に コロナだけじゃない根本的な問題とは?(佐藤昌司) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

サーティワンで赤字が続く…

 アイスクリームチェーン「サーティワンアイスクリーム」が赤字で苦しんでいる。運営会社、B-Rサーティワンアイスクリームの2020年12月期上半期(1~6月)決算(単体)は、売上高が前年同期比10.6%減の77億円、営業損益が2億200万円の赤字(前年同期は1億7300万円の赤字)だった。最終損益は6300万円の赤字(同6900万円の赤字)となった。

 サーティワンは6月末時点で全国に1185店を展開するアイスクリームチェーンの最大手。抜群の規模と知名度を誇る。サーティワンのアイスを食べたことがある人は少なくないだろう。

 この暑い夏の時期にサーティワンのアイスはぴったりだ。そして、サーティワンにとって夏は書き入れ時となる。だが、この夏を前にサーティワンの店の前から客が消えた

 新型コロナウイルスがサーティワンを直撃した。サーティワンはショッピングセンター(SC)への出店が多く、その割合は約7割にも上る。そのSCの新型コロナを受けた営業自粛などの営業方針に沿って、サーティワンは多くの店舗で臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。こうして客が消えたのだ。

 サーティワンはテイクアウトやデリバリーを強化するなどで客足を回復させようとしたものの、抜本的な回復には至らなかった。20年12月期上半期の全店舗の総小売売上高は前年同期比9.6%減の174億円と大きく落ち込んだ。客単価が24.3%増の930円と大きく伸びたものの、客数が27.2%減の1875万人と大きく落ち込んだ。

 新型コロナの影響で業績が悪化したわけだが、もっともそれ以前から業績は低迷していた。ここ10年ほどは売上高と店舗数は横ばいで推移し成長が見られないのだ。一方でコスト高が続いており、収益性は悪化傾向にある。15年には40年ぶりに最終赤字に陥った。

 サーティワンは苦戦が続いているが、一方でアイスクリーム市場は拡大傾向にある。日本アイスクリーム協会によると、19年度の市場規模(メーカー出荷ベース)は前年比0.7%減の5151億円。7月の天候不順の影響でわずかに前年を下回ったものの、18年度までは7年連続で拡大していた。

 近年の市場をけん引しているのはメーカーの企業努力によって生み出された付加価値の高いアイスだ。どら焼きなどスイーツを取り入れたアイスや、ロッテの菓子「チョコパイ」など人気商品とコラボしたアイスなど趣向を凝らしたアイスが人気を博している。しかも価格は手ごろで、高付加価値のものでも大半が200円以内だ。これはサーティワンと比べて圧倒的に安い。

 こうした低価格で付加価値の高いアイスを消費者はスーパーやコンビニエンスストアで買って食べる。そのため、サーティワンにとってスーパーやコンビニは大きな競争相手だ。日本アイスクリーム協会の消費者調査では、アイスの購入場所で一番多いのがスーパーで次いで多いのがコンビニだ。コンビニは大手各社がこれまで出店攻勢を仕掛けて店舗数が急増しており、アイスの購入場所としての存在感が高まっている。また、コンビニはプライベートブランド(PB)のアイスを充実させてきており、品ぞろえは年々良くなっている。サーティワンにとってスーパーとコンビニは大きな脅威となっており、顧客を奪われているのだ。

同様の構図は他業界でも

 こうしてサーティワンは苦戦を強いられるようになったのだが、サーティワンの苦境の構図を説明するため、ここでいったんサーティワンから離れて他業界について考察したい。

 サーティワンのようにコンビニに顧客を奪われて苦戦を強いられている専門店・業界は少なくない。例えば、洋菓子店がそうだろう。「至高のモンブラン」などの人気商品で知られる老舗洋菓子チェーン「モンブランKOBE」を展開するモンブランが少し前に倒産に追い込まれるなど近年は中小の洋菓子店の倒産が相次いでいることが報じられているが、背景にはコンビニスイーツが充実してきていることがある。

 コンビニでは低価格で手軽に買える洋菓子(スイーツ)が充実してきている。ローソンが09年に発売した「プレミアムロールケーキ」がヒットしコンビニスイーツという言葉が確立するようになったが、その後も続々とヒット商品が生まれ、コンビニスイーツは存在感を高めていった。最近ではローソンが昨年に発売した「バスチー」が大ヒットし、コンビニスイーツの存在を改めて世に知らしめた。

 こうしたコンビニスイーツに押されて中小の洋菓子店が苦境に追い込まれている。もっともこれは中小だけでなく大手も同様で、「ペコちゃん」でおなじみの不二家も大手ながら苦戦を強いられている。

 不二家は主力の洋菓子事業の不振が長らく続いている。同事業は19年12月期まで5期連続の減収、17期連続の営業赤字を余儀なくされている。販売不振から、不採算店の大量閉店にも追い込まれた。このように不二家の洋菓子店が販売不振に陥ったのもコンビニが洋菓子を充実させてきたからだ。そして洋菓子店を利用していた人がコンビニに流れている。

 サーティワンが苦戦を強いられるようになった構図はこうした洋菓子店と似ている。どちらもコンビニの低価格でおいしいアイス・洋菓子に押されているのだ。

 こうしてサーティワンもコンビニに押され、そして新型コロナが追い打ちをかけて業績が悪化したわけだが、とはいえ、お先が真っ暗というわけではない。新型コロナ下で通常営業を続けた店舗における20年12月期上半期の既存店売上高は前年同期比1.2%増と伸びている。確かにコンビニに押されてはいるものの、市場が拡大傾向にあり、サーティワンの取り分がまだまだ十分にある状態だ。そのため、付加価値の高いアイスを提供し続けコスト削減を進めていけば収益性を高めることは十分可能だろう。今後の成長に期待したい。

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August 09, 2020 at 07:00PM
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