2020年10月19日 7:00 935
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綿矢りさの同名小説を
3月、東京都内で撮影されたのはみつ子と多田が夜道を歩くシーン。フレンチレストランで食事をした帰り道、みつ子が東京タワーで行われるバレンタインデーイベントに多田を誘うという場面だ。新幹線が通過するタイミングを見計らいながら、時間を掛けてテイクが重ねられていく。
現場ではモニタで2人の演技を確認しながら時折拍手をする大九の姿が見られた。大九は「新幹線を待つ必要があったり、画角がシビアだったりと、ちょっとしたミスや段取りを忘れるとやり直しになってしまう場面。がんばれ、がんばれと思いながら撮影していました」と述べ、「いろんなタイミングがぴったり合って、やった!と思って自然と拍手をしていたかもしれませんね」と2人の演技に、無意識に体が動いていたことを明かす。
のんと林の魅力を「どこにでもいそうな演技ができるところ」と語る大九。「もちろん、見目麗しいお二人ですが、スッとその役に入って、気持ちよく染まってくださる。それと、2人とも本当にかわいいんです! それぞれかわいらしい雰囲気とお姿ですが、並ぶとかわいさが何千倍にもなります」と力説。「撮影に参加した私の友人が2人のことを見て『圧倒的透明感』と言っていたくらいです!」と続けた。
みつ子のキャスティングに悩んでいたという大九は「プロデューサーにのんさんと言われて、バチっときたんです」と振り返り、「のんさんは20代ですが、みつ子は30代の女性。しゃべり方や走り方が若々しくなってしまったときにはその都度指摘をしました」と言及する。
また「林さんとは以前からご一緒したいと思っていました」と述懐する大九は、「多田くんは、何年かに一度彼女がいて別れたりもしている普通の29歳の男の子。林さんが元気すぎる多田くんをやってくれることが時折あったので、話し合いながら今の多田くん像を作っていきました」と笑顔で回想。「例えばみつ子の家に初めて招待されるシーンで、うれしくてダッシュで走って行ってしまったので、『心はヤッホーだろうけど、普通に去って行く感じでお願いします』と言いました(笑)。ちょっと恥ずかしそうに林さんは『はい』と言って、下を向いていてかわいかったです」と裏話を披露した。
綿矢の小説を映画化するのは「勝手にふるえてろ」に続き2度目となる大九。「綿矢さんの作品の魅力は、言葉の強さです。セリフは、すごく鋭利で練られています。映画にすると思いながら読むとゾクゾクします。また、映画でいうト書きにあたるモノローグの部分も綿矢さんの魅力だと思っていて大好きです」と思い入れたっぷりに語る。そして「小説『私をくいとめて』を読んでいる間は、ずっと脳内がカラフルでした。綿矢さんの作品の魅力は言葉だというのは揺るぎないですが、この作品を映画化するときは、脳内に思い浮かんだ色をもう一回再現しよう。それができたら今まで撮ったことのないような映画が撮れるかもと思ったんです!」と思い返した。
「私をくいとめて」は、12月18日に全国でロードショー。
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