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国立工芸館「工の芸術」を見る (中)「自然」のイメージを更新する - 中日新聞

鈴木長吉「十二の鷹」(部分)1893年 東京国立近代美術館蔵 写真:エス・アンド・ティ フォト

鈴木長吉「十二の鷹」(部分)1893年 東京国立近代美術館蔵 写真:エス・アンド・ティ フォト

時代で変わる表現法 模倣、単純化、見立て


 日本の工芸品は古くから花鳥風月など自然を意匠に取り入れてきた。国立工芸館(金沢市出羽町)の開館記念展I「工の芸術−素材・わざ・風土」の第二章「『自然』のイメージを更新する」では、近代の工芸家たちが「自然」をどう捉え、作品にしてきたかを紹介している。

 鋭い目で一点を見詰め、今にも飛び立つために羽を持ち上げようとしているタカ。金工家鈴木長吉(一八四八〜一九一九年)の「十二の鷹」(一八九三年)のうちの一体だ。ボディーは蜜蠟(みつろう)を原型にした青銅製。そこに金や銀、銅合金などを使った象眼や彫金を施した。重ね合わせた羽根の一枚一枚に細かな線を彫るなど、その描写は金属とは思えないほど精巧だ。
時代で変わる表現法

 「十二の鷹」は、工芸館の所蔵品で唯一の重要文化財。自然の生物を生き写した明治時代の超絶技巧を代表する作品として紹介されることが多い。一八九三年のシカゴ万博に出品するために鈴木が制作を指揮。完成まで四年を費やしたという。今回は十二体のうち三体を展示する。

 鈴木のタカが自然の「模倣」だとすれば、同じ鳥でも昭和の金工家山脇洋二(一九〇七〜八二年)の「金彩鳥置物」(一九五六年)は「単純化」によって鳥の愛らしさを際立たせ、対照的だ。

 近年、海外からの注目が集まる竹工芸。伝統的な竹細工の技法を自在に扱いながら、近代的な美の表現に挑んだ飯塚琅玕齋(ろうかんさい)(一八九〇〜一九五八年)の「花籃 あんこう」(一九五七年)を展示する。茶道具などで、のどから外側に広がる器の形を口の大きなアンコウに見立てて鮟鱇形(あんこうがた)というが、模倣するだけでなく自然物になぞらえる「見立て」も日本の工芸の特徴だ。

 富山ガラス造形研究所で腕を磨いた小島有香子(一九七九年〜)の「積層硝子皿 月華」(二〇一三年)は、建築などで使われる板ガラスを何層も重ね合わせて削り、磨き上げることで光のグラデーションを生みだす。同心円を描く皿の内部に、光という自然現象を抽出して封じ込めているかのようだ。 (松岡等)

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November 13, 2020 at 06:27PM
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