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濁流に流された集落、ヘリから見ると 千曲川決壊1年 - 朝日新聞デジタル

 あの日、まちは一変していた。濁流は思い出のつまった家を壊し、実ったリンゴを泥に沈めた。それから1年。今月7日、長野市の長沼地区をヘリコプターで上空から見ると、元に戻ることの難しさとともに、復旧の歩みも感じた。

 雄大な千曲川を北上していくと、コンクリートがむき出しの堤防が見えてくる。西側に同市津野や穂保の集落が広がる。決壊で大きな被害を受けた地域だ。緑生い茂るリンゴ畑や住宅地のなかに、白っぽい色彩を失った場所がある。濁流で流されたり、家屋が解体されたり。上空からだと、更地が際立って見えた。

 1年前まで、そこには人の営みがあった。

 決壊翌日、ひざ下までの泥に足をとられながら長沼に入った。玄関に折れた木が流れ込み、「家が、家が……」とぼうぜんとする男性。「そこに2、3軒の家があった」と言われた場所には、建物の基礎しか見当たらない。流された軽トラックは、リンゴ畑の中でようやく止まっていた。

 ヘリはさらに高度を下げる。青い屋根が見えてきた。津野の人たちの集会所だ。いまだ復旧が進んでいない旧長沼公民館の大きな赤色の屋根もわかる。

 ほかにも、家や寺社、曲がり角の多い旧街道。上空からでは人の姿は見えなかったが、まちを眺めていると、この1年に出会った一人一人の顔が浮かぶ。

 救助された後、「生きているのが申し訳ない」と話していた高齢の女性や、「もう話したくないの。ごめんね」と目を潤ませた女性のことも覚えている。最近では「まちの力になりたい」と力強く語る若い男性にも出会った。

 1年経ち、リンゴは再び赤く色づいている。道路も整備された。夜、何度も堤防に立って見渡した。昨年は真っ暗だったこのまちに、ぽつりぽつりと明かりのついた家が増えている。

 空から、リンゴ畑脇の細い道を白い軽トラックが走っていくのが見えた。ここで生きている、生きていこうとする人がいる。

 「1年間、1段ずつ上ってきたんだ。また1段ずつ上っていくさ」。長沼地区住民自治協議会の会長、西沢清文さん(66)はそう言った。(田中奏子)

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October 13, 2020 at 09:48PM
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