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「ソウル市長の死」と「株価急騰」に見る韓国社会の旧態依然【崔さんの眼】 - 時事通信ニュース

2020年08月23日09時00分

自殺のニュースが流れる2日前の7月8日、ソウル市庁舎で記者会見した朴元淳市長【EPA時事】

自殺のニュースが流れる2日前の7月8日、ソウル市庁舎で記者会見した朴元淳市長【EPA時事】

  • ソウル市にある銀行のディーリングルーム(2020年8月撮影、本文と直接関係はありません)【EPA時事】

 ◆ジャーナリスト・崔 碩栄◆

 7月10日、ショッキングなニュースが韓国を駆け巡った。現職ソウル市長である朴元淳氏が自殺したというニュースだ。それも、セクシャルハラスメントという不名誉な疑いを掛けられた直後の自殺だという。

 彼の死が韓国社会に与えた衝撃は大きい。彼は、単に現職ソウル市長というだけでなく、慰安婦問題や女性人権問題のための活動を幾つも行ってきた「人権派弁護士」だ。

 人権派弁護士が、セクハラ疑惑により自殺。「どちらが彼の本当の姿なのだろうか」「そもそも疑惑は真実なのだろうか」という論争が起こり、テレビ、新聞、インターネット等は数日にわたり、この話題で持ち切りだった。

 ◆急落でなく急騰

 朴市長の不祥事は、フェミニスト大統領を自負する文在寅大統領にも、決して無視できない打撃を与えた。

 4月にセクハラ問題により任期半ばで辞任した釜山市長と朴市長、2人とも与党所属だ。文大統領をはじめとする与党首脳部の当惑は、いかばかりだろう。

 ところで、政治家の死にまつわる疑惑、責任、非難についての報道が相次ぐ中、経済ニュースで興味深い話題が出てきた。朴市長の死により「急騰した株」に関するものだ。

 政治家の死により、特定の株が急落することはしばしば発生する。例えば、大型建設プロジェクトを推進していた政治家が急死した場合、プロジェクトの先行きが不透明とみなされ、建設関連の株が下落するようなケースだ。

 逆に死んだ政治家がプロジェクトの強力な反対派だった場合、建設関連の株が上がることもあり得るかもしれない。

 だが、朴市長死去後の株価変動は、これとは全く性質の違うものだ。一体、何が起きたのか。

 ◆特別な利益

 急騰したのは、朴市長の政敵に関連する株だった。ソウル市長が死亡したことにより、次の市長選挙に出馬する可能性のある人たちに関連する株が上がったのだ。

 例えば、朴市長死去の翌日に急騰した銘柄には、S電子やストップ高を記録したJ化学などがある。これらの会社はそれぞれ、以前のソウル市長選の有力候補だった安哲秀氏、前ソウル市長の呉世勲氏と関連があるとされる。

 だが、もう少し詳しく見ていくと、首を傾げたくなるような事実が見えてくる。つまり、二つの会社はいずれも「関連があるとされる会社」であって、安氏や呉氏と直接関連がある会社ではないということだ。

 S電子については、会社の代表が以前、安氏の会社に所属していたことがあるという理由に過ぎず、J化学は会社の副代表が呉氏の同窓生で親しいというが、それも「うわさ」に過ぎない。

 このようなハプニングから、韓国人の特質が見えてくる。それは、韓国人は、誰かが市長や大統領に当選すれば、「当然」その親しい友人や親戚の会社に特別な利益が与えられるに違いないと考えるということだ。

 会社の経営状態、業種などに関係なく、会社の代表が市長や大統領と「親しい」というたった一つの理由で、その会社の収益が上がるに違いないと予測する。

 ◆政治家との人脈

 そして、最も金のにおいに敏感な投資家たちが、その会社の株に期待を寄せ、群がり、ストップ高にまで至らしめたのである。

 実際には、その人が市長や大統領になったからといって、その親友の会社の売り上げが増えるとは言い切れない。

 むしろ、市長や大統領の地位にあれば、そのような行為は厳格に禁じられ、監視対象にもなる。従って、政治的なリスクを避けるために、在任期間中には意図的に親友や親族と距離を置く人たちもいるほどだ。

 だが、株価は、どこまでも「期待」を反映する。実際に、それが起こる可能性が低かったとしても、多くの人がそれを期待すれば、株価は上がっていくのである。

 朴市長の死は、韓国政治の不名誉な側面が表沙汰となった事件だ。だが、その後に続いた株価高騰騒動は、「韓国社会において、富は政治家との人脈により決せられる」という認識が依然として、一般の人に深く根付いていることを示す、一つの悲しいハプニングであった。

 (時事通信社「金融財政ビジネス」2020年8月17日号より)
  
 【筆者紹介】

 崔 碩栄(チェ・ソギョン) 1972年生まれ、韓国ソウル出身。高校時代から日本語を勉強し、大学で日本学を専攻。1999年来日し、国立大学の大学院で教育学修士号を取得。大学院修了後は劇団四季、ガンホー・オンライン・エンターテイメントなど日本の企業に勤務。その後、フリーライターとして執筆活動を続ける。著書に「韓国人が書いた 韓国が『反日国家』である本当の理由」「韓国人が書いた 韓国で行われている『反日教育』の実態」(ともに彩図社)、「『反日モンスター』はこうして作られた」(講談社+α新書)、「韓国『反日フェイク』の病理学」(小学館新書)など。

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